生後9か月頃になると、離乳食は1日3回になります。大人の食事時間と一緒の時間に離乳食を食べることも増えてきますが、はじめに子どもに離乳食を食べさせて、その後、大人だけで食事をする、ということをやっている方はいらっしゃいませんか。この食べさせ方は、お勧めできません。
その理由は、食事の時間は、成長・発達や生命の維持に必要な栄養素等を補給するだけでなく、家族や友人らとのコミュニケーションの場でもあるからです。
離乳期の子どもと一緒に食卓を囲むと、例えば、大人が食べているものに子どもが手を出そうとしたら「あっ、それはまだ固いから、○○ちゃんには無理よ。早くこれが食べられるようになるといいね」と声かけをすることもあるでしょう。その時、子どもは何を言われているのか、意味は分からなくても、声のトーンは子どもの成長を願うやさしいものであることは感じることができます。
また、食卓で大人同士が料理などの会話をしたとき、とても和やかで、楽しい雰囲気を醸し出していることでしょう。その食卓の場に子どもが一緒にいることで、その楽しい雰囲気を共有することができるのです。
先に子どもに離乳食を食べさせて、大人と一緒に食卓を囲んでいないと、楽しい食事の雰囲気を感じることができず、単なる栄養素等の補給の時間になりがちです。
食事の時間が「みんなで食べると楽しいね、おいしいね」という共食の楽しみ、喜びを感じられる時間となるように、離乳食の頃から、共に食卓を囲む体験をたくさん積んでいきたいものです。