堤先生の食育コラム 堤先生の食育コラム

子どもの食に詳しい相模女子大学の堤先生に、子どもたちの食事について聞いてみました!
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子どもの好き嫌いが違うときの
食事準備の工夫
子どもの好き嫌いが
違うときの食事準備の工夫


2人以上の子どもがいる保護者の方から寄せられたお悩みです。
子どもの好き嫌いが違うときの対応方法や食事準備はどのようにしたらよいか、
堤先生にアドバイスいただきました。
2人以上の子どもがいる保護者の方から
寄せられたお悩みです。
子どもの好き嫌いが違うときの対応方法や
食事準備はどのようにしたらよいか、
堤先生にアドバイスいただきました。

 子どもが2人以上いると、それぞれの好みや苦手な食べ物が違う場合、食事の準備が大変になることがあります。しかし、毎食好みに合わせようとすると負担が大きくなるため、工夫しながらバランスを取ることが大切です。

  • 一部を少し変える工夫をする

 同じ料理でも、一部を少し変える工夫で子どもたちの好みに合わせることができる場合があります。 例えば、
①ハンバーグを作る際、1つはシンプルなプレーン、もう1つはチーズ入りにする。
②ソースをデミグラスソースと和風の大根おろしソースにするなどです。

  • アレンジしやすいメニューにする

 カレーや鍋料理などは、具材を分けたりトッピングを変えたりすることで、それぞれの好みに対応できます。
カレーの場合には、
①野菜が苦手な子には、野菜の切り方を変えたり、すりつぶしてルーに混ぜたりする。
②カレーの風味をマイルドにするために、一部を取り分けてヨーグルトや牛乳を入れて辛さを和らげる。
③ゆで卵やチーズなど、好みの具材をトッピングできるようにするなどです。
鍋料理の場合には、
①具材を別々に取り分ける。
②食べられるものだけを取れるようにする。
③つけだれを、しょうゆ、みそ、コンソメなど数種類用意する
などです。

  • バイキング方式を取り入れる

数種類の食材を別々に盛り付けて、子どもが自分で好きなものを選べるようにする方法も効果的です。 例えば、オムライス、タコライス、うどん、サラダなどは、基本の部分を作り、トッピングを選べるようにすることで、それぞれの好みに対応することができます。

  • 交互に好きなメニューを作るルールを決める

 今日は姉の好きな料理、次の日は妹の好きな料理、というように、順番に子どもの好みに合わせる方法もあります。このとき、例えば「今日のおねえちゃんの好きな料理、結構おいしいから、○○(妹の名前)ちゃんも食べてみたら」と声掛けをします。いろいろな味を経験させる機会を作ることは、偏食を減らすことに効果的です。

  • 苦手な食べ物にも少しずつ慣れさせる

 苦手な食べ物は、量を減らして食べやすい形にしたり、他の好きな食材と組み合わせたりして、完全に避けるのではなく、少しずつ取り入れて、慣らしていくことも大切です。

  • 一緒に買い物に行ったり、調理をして、興味をもたせる

 買い物に行って一緒に食材を選んだり、料理を作ることで、今まで苦手と思っていた食べ物にも興味をもつようになって、食べられるようになることがあります。

食事はおいしく、楽しく摂るものです。保護者の方が負担を感じない範囲で工夫をしながら、きょうだいで同じものが食べられるように、食の経験の幅を広げていっていただけたらと願っています。

 
肩書・プロフィール
堤先生
相模女子大学 栄養科学部健康栄養学科 特任教授
◎日本女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院家政学研究科修士課程修了。
◎東京大学大学院医学系研究科保健学専門課程修士・博士課程修了。
◎保健学博士、管理栄養士。青葉学園短期大学専任講師・助教授。
◎日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部栄養担当部長。
◎相模女子大学栄養科学部健康栄養学科教授を経て、2024年4月より現職。

 専門は母子栄養学、保健栄養学。「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)策定委員。