子どもの食に詳しい相模女子大学の堤先生に、子どもたちの食事について聞いてみました! 第10号 実はおやつには子どもの食事に大切な役割があるのです! 実はおやつには子どもの食事に大切な役割があるのです! おやつの大切な役割、食べさせる時に気をつけることについて堤先生にお聞きしました。 おやつの大切な役割、食べさせる時に気をつけることについて堤先生にお聞きしました。 幼児のおやつの大切な役割とは?おやつの内容や量、食べさせる時に気をつけることは? 幼児のおやつの大切な役割とは?おやつの内容や量、食べさせる時に気をつけることは? ●幼児にとって間食の果たす役割 ●幼児にとって間食の果たす役割 ・エネルギー、栄養素、水分の補給 幼児期は体の大きさに比べて、エネルギーや栄養素の必要量が多いです。しかし、幼児は胃袋が小さく、消化・吸収機能も未熟であったり、日により食べムラがあったりして、3度の食事だけでは必要な栄養量を満たすことは難しいです。そのため、間食は「食事の一部」と考えて、食事で不足するエネルギーと栄養素を補給する役割をもっています。また、幼児は物質代謝が活発であり、それに伴い水分の必要量が多い時期であるために、水分補給も間食の役割として重要です。 ・心理的な楽しみの場の提供 間食の摂取により、からだや心を休めて精神的にリラックスできる効果が期待できます。また、園の先生や友だち、家族らと和やかにコミュニケーションを図ることで、子どもに精神的な安定感をもたらし、社会性を育てることができます。 ・食への関心を高める食育の場となる 間食の楽しみから、食に対する興味や関心を高めることができます。また、園の先生や友だち、家族らで間食を手作りすることにより、料理を身近に体験したり、食品に関する知識を深めたりすることもできる食育の場ともなります。 ●間食の提供方法 ●間食の提供方法 ・間食の内容 牛乳、チーズ、ヨーグルト、季節の果物や野菜、いも類などの素材の味を生かした季節感の感じられるものが望ましいです。また、次の食事に影響しないで、速やかにエネルギーとして利用されやすい穀類や糖質食品(おにぎり、サンドイッチ、お好み焼き、焼きそばなど)も好ましいです。間食は1品だけでなく、例えば、おにぎりと果物と麦茶、ビスケットと果物と牛乳など数種類組み合わせることで、栄養バランスがとれ、子どもの楽しみも増します。 また、ミールキットだけではとりづらい鉄分・カルシウムなどを間食で補うこともできます。 ・間食の量 1日のエネルギー摂取量の10~20%程度、具体的には、1~2歳児であれば、100~150kcal、3~5歳児であれば200~260kcalが適当です。100kcalの目安は、それぞれ牛乳150ml、バナナ1本、りんごⅠ/2個、クッキー2枚、ふかしいも80gなどです。年齢、運動量、食欲、食事間隔、家庭環境などにより、次の食事に影響しない量を個人差に考慮して調整することが必要です。また、1回分の量を取り分けて、食べ過ぎないように配慮します。 ・間食の回数 1~2歳児は1~2回、3~5歳児は午後1回とします。できるだけ時間を決めて、規則的に与えることを習慣づけます。食べ終わったあとに、歯磨きや口すすぎをする習慣を身につけさせて、むし歯予防に気をつけます。 ・誤嚥・窒息につながりやすい食材に注意 乳歯が20本生えそろうのは3歳頃です。また、乳歯が生えそろっても、咀嚼力はまだ発達途上にありますので、誤嚥・窒息に気をつける食材があります。例えば、丸くて表面がつるつるしているミニトマトは、1/4に切ったり加熱する、ぶどう、さくらんぼも1/4に切り、種を除くなど、与える場合には注意が必要です。餅や白玉団子は、粘着性が高く、のどに詰まりやすいので子どもに与えることは避けます。食べ方に気をつける食材は、よく噛むことを食べる前に説明します。また、食べている時には、子どもの表情が見える位置で、大人が注意深く見守ることも重要です。安全に配慮して、楽しい間食の時間を過ごすことが望まれます。 肩書・プロフィール 相模女子大学 栄養科学部健康栄養学科 特任教授 ◎日本女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院家政学研究科修士課程修了。 ◎東京大学大学院医学系研究科保健学専門課程修士・博士課程修了。 ◎保健学博士、管理栄養士。青葉学園短期大学専任講師・助教授。 ◎日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部栄養担当部長。 ◎相模女子大学栄養科学部健康栄養学科教授を経て、2024年4月より現職。 専門は母子栄養学、保健栄養学。「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)策定委員。 バックナンバー 【最新号/第12号】2025.3.13子どもの好き嫌いが違うときの食事準備の工夫 【第11号】2025.1.16おかずだけ食べて白ご飯を残してしまうことも。ご飯をよく食べてもらうにはどうしたらいいですか? 【第10号】2024.11.28実はおやつには子どもの食事に大切な役割があるのです! 【第9号】2024.10.24季節の変わり目は、体調を崩してしまうことも…熱があるとき、体調の悪い子どもに食べてもらうには? 【第8号】2024.9.12好き嫌いのある子ども。偏食がなくなるにはどうしたらいいの? 【第7号】2024.4.18よく噛んで食べることは、なぜ大切なのでしょうか 【第6号】2024.3.28三色食品群に配慮した献立で栄養バランスのとれた食事を 【第5号】2024.2.15子どもたちに野菜にチャレンジしてもらうための工夫 【第4号】2024.1.18朝食は、なぜ摂取したほうがいいの? 【第3号】2023.12.7楽しい食卓を囲んで離乳食を 【第2号】2023.10.5「お魚大好き!」な子どもにするには、どうしたらよいかしら? 【第1号】2023.9.14子どもの食事は、なぜ薄味がいいの?